仮彼氏。
第1章 疲れた。
ガチャッ
「ただいまー…」
言っても意味のない言葉
私は一人暮らしだ
私が通う都立桜野高校には徒歩五分
実家からもそこまで遠くないけど、とにかく一人暮らしがしたかった
『別に、いいんじゃない?』
『ああ、構わない』
マンションの一室を用意してくれた両親には感謝してる
…けど、たぶんただ単に二人っきりになりたかっただけだ。
もう一人欲しいとか言ってたし…。
「はぁ…」
一人暮らしには充分すぎる部屋を見回す
自分らしくないと思いながらも、大好きなぬいぐるみがたくさん置かれている
「…何か食べよ」