手探りな絶望
第16章 別離
すぐに
冬実に追いついた俺は
冬実の腕をつかみ
もう一度名前を呼んで
冬実を引きとめた
俺に腕を握られた冬実は
その場に立ち止まったけど
顔をそむけたままで
俺を見ようとはしない
「冬実・・」
短い髪
緊張すると
赤く染まる・・首
髪が短いせいで
冬実の表情は
隠すということを知らない
冬実は
首を真っ赤に染め
そして
涙を流していた
「怒ってなんかないんだ
だから・・」
だから
何だよ
何が言いたいんだよ
寺田・・
俺は何を言えばいいんだよ
何を聞けば
いいんだよ
「ごっ・・めんなさ・・
ごめんなさい・・うっ・・」
謝らなくていいんだ
謝らなきゃ
いけないのは
俺の方なんだ
冬実
「・・・好きだよ・・・
・・会いたかった・・」