手探りな絶望
第16章 別離
冬実は
更に泣き出してしまい
周囲の目が
気になった俺は
冬実を
寺田の車へ
誘った
「みんな…見てるから
近くに
車停めてあるんだ
車で…
話をしないか?
俺……
冬実に謝りたいんだ」
その言葉に
冬実は反応し
冬実は
小さく頷いた
「ごめん
痛かったよな?
車、あっちだから」
無意識に
強くつかんでしまっていた
腕から手を離し
寺田の車を指差した
俺が歩き出すと
冬実は
うつむいたまま
俺の後を歩く
俺たちが車に近づくと
寺田は
気を利かせたのか
車から降りて
向こうの方へと
歩いて行ってしまった
助手席のドアを開け
冬実に
「乗って」
と、声をかけると
冬実は
「……はい」
と、とてつもなく小さな声を出した。