手探りな絶望
第17章 抱擁
それから
俺は
千夏との思い出を
語りはじめた
千夏と
手紙の交換をしていたこと
そのきっかけが
部室での
出来事だったこと
千夏の
学校での様子
千夏が手紙に
書いていたこと
俺が
千夏に
淡い恋をしていたこと…
そして
最後の日に
電話で話をしたことや
千夏の両親に
手紙を書いたけど
その手紙を
友達が出してくれていなかったことを
ずっと知らなかったことまで
全てを話した。
千夏のお母さんは
部室の出来事と
最後の電話の話の時
顔を歪めて
涙を浮かべていたけど
それ以外の話には
嬉しそうな表情で
耳を傾けていた。
「千夏ちゃんが
いじめられてるかもって
もっと早く
ご両親に伝えていれば…
本当にすみませんでした…」
「それは違うと思うわ」
「え?」
「千夏は…
藤沢くんが知らせてくれても
そんなことないわって
シラをきったと思うのよ
最後の最後まで
全部
守り通したんだもの…。
だから
あなたのせいなんかじゃないわ」
「……守り通した?…」