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手探りな絶望

第3章 接近

さて、帰るか



なんか
知らねーけど
長い一日だったな…



そんな事を思いながら
試験課のある建物から
外に出て
離れた事務所にある
ロッカールームに向かおうとすると


小さな声が聞こえた





「お、お疲れさまです…」




ん?



こ、この声は!!!



聞き覚えのある声に
急いで振り向くと

佐々木さんが立っていた



「あ、あ〜
佐々木さん

うん、お疲れさま

佐々木さんも…残業?」




来たかぁ〜

と、思ったけど
待ってなんかなかったぜ
という素振りが
またなんともぎこちない(苦笑)



あ、そっか
忙しくて残業だったのか
だからこんな時間まで
俺と接触できなかったんだな

一瞬にして
そう思った俺は
少しイラついていた自分を
責めていた



「あ、いえ
私、残業はないので。

試験課さん

……待ってました」



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