
蛹
第6章 6
マンションについた
しかし、中から出てきたのわ…あの女だった
「あら!いつかの…ひじりさんなら、ワインを買いに、良かったら入って、」
ためらいながらも入る
「紅茶でいいかしら」
「いえ、結構です」
「私たち結婚するの」
「知ってます」
「そうなの。良かった。またひじりさんに変な虫がついたら困るから」
「…あの、ひじ……佐久間があなたを好きだとわ、どうしても思えないんだ…」
「…例えそうでも一緒にいれば情がわくかもしれない、例えお金のためでも…」
「金?」
「えぇ…ひじりさん、パパにお金を借りに来たのよ、パパわ私との結婚を条件に一千万貸したわ!!」
「そんな…」
孝之わ、部屋を出た
ひじりを探した…探して、探して…
…公園のベンチに座るひじりを見つけた
「…なんで!!」
ひじりの前に立ち孝之が小さな声で問いかけた
「孝之…」
「なんで、俺なんかのために金借りたんだよ!!」
「あぁ、なんでかな…お前なんかに…なんでだろな…」
「…絶対返す…一生かけて返す…から…だから…結婚…やめろ」
バサッ
ひじりが立ち上がり孝之を抱きしめた
「なら……一生俺と一緒に居ろよ、孝之…」
「…ひじり…」
ひじりの腰に手をまわす孝之
それに気付きひじりがさらに強く抱きしめた
そして、唇が重なる
ずっとずっと欲しかったひじりの唇
唇からひじりの舌が入ってきた…孝之も舌をひじりに絡ませた
「んっ…ん…」
長い長いキスのあと唇が離れた
「はぁ、はぁ…はぁ」
「大丈夫か?」
「うん…」
ひじりが苦笑した
「なんだよっ…」
照れる孝之
「なぁ………」
ひじりが孝之を見る
「え…何…」
「…お前が欲しい」
しばらく沈黙の後
「…俺も…ひじりが欲しい…」
車を走らせホテル街に入った。
