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ずっと君を愛してる

第10章 日記

『2002年4月7日
誠人。誠人に会いたい。いまどこで何をしていますか』

…これまで記されてきた静流の日常から、文面が一転して気持ちばかりが綴られ始める。何かあったのだろうか?

『2002年4月20日
どうして、誠人との穏やかな生活を捨てて飛び出してきてしまったのかな。ねぇ誠人。私のこと、探してくれましたか?それなら少しは私のこと心配してくれたのかな。今あの家に戻っても同じように笑顔で迎えてくれますか?会いたい。こんなにも、苦しいなんて知らなかった。』

『2002年4月22日
誠人の家に電話をしてみた。私が知っているのはこの番号だけだから。でも誠人は留守だった。留守番電話にもならなかった。・・・時差を忘れてた。なんだ。寝てるよね。私、そんなに取り乱してるの?誠人だってきっと笑うよね。毎日一緒にいたのに、誠人に会わなくなってからの7ヶ月がとっても長いです。意気揚々と日本を飛び出したのに中身は全然成長できない。』

もしかしたら、静流はこのあたりから心の成長も始まっていたんじゃないだろうか?ぼくはそのことが気になっていた。外見も中身も幼かったのは静流のいう「病気」が関係していて、彼女は何らかの形でそれを克服し大人になり始めた。それとともに恋に心を砕く思春期のように悩める時期を迎えた・・・?

『2002年5月1日
今日は久しぶりにセントラルパークで写真を撮ってみました。コンサバトリーガーデンの木々が青々として花がたくさん咲いていてこのまま落ち込んでばかりもいられないと思いました。私と誠人の森にもきっと美しい季節がやってきたね。誠人もきれいな風景をフィルムに収めてる。いま、この瞬間同じようにカメラを構えて自分の世界に没頭しているはず。そう思うといくらか元気になれたような気がします。』

『2002年5月3日
私は誠人のことを愛してるのかな。誠人は私のこと、愛してる?』

…愛してるよ。世界でいちばん。

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