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ずっと君を愛してる

第10章 日記


『2002年5月10日
クリスティーから個展をやってみないかと持ちかけられたの。ねぇ誠人、すごいでしょ?なんとか成功させたい!新しく撮る写真も出したいからまた撮影旅行に行かなくちゃ。こんな晴れた暖かい日は、誠人は何をしてるの?あの部屋で本を読んでる?カメラを触ってる?うたた寝してる?あのビーンズクッションはまだそこにあるの?聞きたいことがいっぱい。』

寂しくなったり、自然から元気をもらったり、静流はひとりでいろんな感情に向き合ってきたんだな。
それはぼくも同じだったけど、でも知らない国に来て、静流は頑張ってたんだ。なんとか自分を成長させたくて・・・。そして写真を撮ることで自分をフラットな状態に戻して。

そこまで読んで、静流が目を覚ました。

「誠人・・・?眠れないの?」
「ううん。寝るよ。一緒に寝よう。おいで」

ぼくはまた静流の隣にもぐりこんだ。静流は深く息を吐いて、再び眠りに落ちていった。
静流を一人にしたくない。でも彼女はそれを心から望んでいるわけではない。きっと、精神的な拠り所としてだけ、ぼくを求めているかのような。

明後日の午後の飛行機で日本に帰る。一日一緒にいられるのは明日だけだ。
明日はどこに行こう?また別々の生活を送る静流が寂しくないように。いや、ぼくが寂しくないように。

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