ずっと君を愛してる
第20章 未来へ
「今日も予約いっぱいなの?」
朝食のホットケーキをほいっ、という掛け声とともにひっくり返す静流が聞いた。
「七五三シーズンだからね。家族写真ばかりだよ。悪いね、せっかくの日曜日なのに」
「誠人の家族写真、幼稚園でも評判いいんだよ。すっごくいい表情で撮ってくれるって。あ、カイお皿出して」
「それならいいんだ」
フォトスタジオを開いてから2年が過ぎた。
静流がいつでも世界を旅することができるように、ぼくは子どもたちと一緒にいられる仕事を選んだ。
自宅のすぐ近くのスタジオで仕事をしながら、幼稚園の送迎もするし公園で子どもたちとも遊ぶ。静流が留守の時は家事だってこなす。近所のママさんたちと幼稚園の行事にも参加する。
一緒にいられなかった4年間を埋めたくて。
その誕生も、歩き始めた日も、初めて言葉を話した日も祝ってやれなかった。それなのに、子どもたちはぼくの写真をみて、ぼくのことを聞いて会える日を楽しみにしてくれていた。
それがぼくはただうれしくて、いとおしくて。
「じゃあ行ってくるね、カイ、レイ!」
「いってらっしゃーい!」
「あ!誠人、ホットケーキ」
「時間ないから!」
玄関のドアを開けながらぼくは叫ぶ。
「じゃあ後で持ってくねー!」
キッチンから、静流が返事する。
夜のうちに降った雨が、空気を洗って澄んでいる。静流を夜通し探して見つけられずに帰ってきたあの朝と同じ。
でも今のぼくに絶望はない。あるのは未来と希望。
ずっと、君たちを愛してる。
Fin
朝食のホットケーキをほいっ、という掛け声とともにひっくり返す静流が聞いた。
「七五三シーズンだからね。家族写真ばかりだよ。悪いね、せっかくの日曜日なのに」
「誠人の家族写真、幼稚園でも評判いいんだよ。すっごくいい表情で撮ってくれるって。あ、カイお皿出して」
「それならいいんだ」
フォトスタジオを開いてから2年が過ぎた。
静流がいつでも世界を旅することができるように、ぼくは子どもたちと一緒にいられる仕事を選んだ。
自宅のすぐ近くのスタジオで仕事をしながら、幼稚園の送迎もするし公園で子どもたちとも遊ぶ。静流が留守の時は家事だってこなす。近所のママさんたちと幼稚園の行事にも参加する。
一緒にいられなかった4年間を埋めたくて。
その誕生も、歩き始めた日も、初めて言葉を話した日も祝ってやれなかった。それなのに、子どもたちはぼくの写真をみて、ぼくのことを聞いて会える日を楽しみにしてくれていた。
それがぼくはただうれしくて、いとおしくて。
「じゃあ行ってくるね、カイ、レイ!」
「いってらっしゃーい!」
「あ!誠人、ホットケーキ」
「時間ないから!」
玄関のドアを開けながらぼくは叫ぶ。
「じゃあ後で持ってくねー!」
キッチンから、静流が返事する。
夜のうちに降った雨が、空気を洗って澄んでいる。静流を夜通し探して見つけられずに帰ってきたあの朝と同じ。
でも今のぼくに絶望はない。あるのは未来と希望。
ずっと、君たちを愛してる。
Fin