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愛に生きる

第1章 春

彼女を初めて見たとき、全く好みではなかった。
同じ大学の同じ学部。きっと、4年間の中でも僕の人生に影響を与えることもないだろう。
普通に過ごして普通に顔見知り程度の挨拶をして…。
今考えてもひどいことだがその程度にしか見ていなかった。
いや、もっと言えば存在自体どうでもよくて、何かしらのきっかけさえないなら一度たりとも話す気もなかったであろう、僕はそんなさみしい考えの持ち主だった。

顔はぷっくりしてて、笑った時は一重か二重かわからない細い目。

でも今となってはその細い目が笑うところも、突然見開いて意外にも大きくなったりするところも好きで好きでたまらなかったんだろう。

大学1年生の4月、そんな彼女と人生のレールを交えることになってしまった。

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