そばにいて、そしてキスをして
第9章 そばにいて、そしてキスをして
「…っく…あぁ…」
倉沢は快感に顔を歪めた。千帆と真緒を比べる余裕などなかった。懸命に欲望を抑えていなければ、すぐに吐き出してしまいそうだった。
それほどに、心が感じていた。
そんな交わりは初めてだった。
二人の吐く息が、蒸し暑い部屋の酸素濃度を低くしていく。倉沢の額から滴る汗が真緒の胸を濡らした。
「…汗…かいてる」
真緒が指でぬぐった。二人は中心を繋げたまま目をみて笑った。
「…オレ、必死」
倉沢は荒い息をしながら、再び腰を沈めた。その動きに真緒も反応する。
倉沢が巨匠と呼ばれる指揮者からも絶賛されるほどの音楽家であっても、ピアニストだった恋人を忘れられずにいても、それは真緒が知らない倉沢だ。
真緒の知っている倉沢は、ジャムの作り方で悩み、優しく傷の手当てをしてくれ、欲望に忠実な倉沢だ。
「愛してるよ…貴司くん…」
その瞬間。
快感の津波が押し寄せて、二人は自分を見失う。
そばにいて、そしてキスをして。
それからたくさん愛し合いましょう。心に空いた穴がふさがったら、今度はもっと幸せになるために。
■Fin■
倉沢は快感に顔を歪めた。千帆と真緒を比べる余裕などなかった。懸命に欲望を抑えていなければ、すぐに吐き出してしまいそうだった。
それほどに、心が感じていた。
そんな交わりは初めてだった。
二人の吐く息が、蒸し暑い部屋の酸素濃度を低くしていく。倉沢の額から滴る汗が真緒の胸を濡らした。
「…汗…かいてる」
真緒が指でぬぐった。二人は中心を繋げたまま目をみて笑った。
「…オレ、必死」
倉沢は荒い息をしながら、再び腰を沈めた。その動きに真緒も反応する。
倉沢が巨匠と呼ばれる指揮者からも絶賛されるほどの音楽家であっても、ピアニストだった恋人を忘れられずにいても、それは真緒が知らない倉沢だ。
真緒の知っている倉沢は、ジャムの作り方で悩み、優しく傷の手当てをしてくれ、欲望に忠実な倉沢だ。
「愛してるよ…貴司くん…」
その瞬間。
快感の津波が押し寄せて、二人は自分を見失う。
そばにいて、そしてキスをして。
それからたくさん愛し合いましょう。心に空いた穴がふさがったら、今度はもっと幸せになるために。
■Fin■