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叶わぬ恋でも君のために。

第8章 君の嘘

お昼になっても夕方になっても秀ちゃんは戻っては来なかった。


サヤさんからは冷たい目で見られて
いたたまれない気持ちでいっぱいだった。



明日から…どうなるんだろう…。




私、クビ?


このまま秀ちゃんに会えなくなるの?


どうして急にこうなちゃったの?




門を出た途端に涙が溢れてきた。


秀ちゃん…どこに行っちゃったの?





肩を落としながらトボトボ歩いていると
目の前に車が一台止まり、降りた男性がこちらに駆け寄って来た。


涙で視界が滲んでいて誰だかわからなかったけど


「生田さん?」


涙を拭うと秀ちゃんの弟、拓実君の姿が見えた。



「どうしたの?」


「…。」



拓実君は、何も答えられずに俯く私の頭を軽くポンポン、としながら呟いた。







「可哀想に…。



兄貴のこと、好きになっちゃったんだね…。」




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