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どう見ても猫。

第1章 ぼろぼろな黒猫。




「えぇ、猫って…、」


幼い頃から実家で犬を飼っていて、犬派か猫派かと問われれば即答で犬派な俺は、猫に若干の恐怖心がある。

というのも、幼い頃から一度も触れ合ったことがないからという単純な理由だが、よく見れば子猫でもなくもう大きくなった黒猫に近付くには少し勇気がいた。


ドアの前に座り込むその猫はもう大分大きくなった猫で、その上降り続く雨の所為か毛並みはボサボサで濡れている。

そのことから少し前までここではないところにいたのだと分かるが、不思議なのがその猫がピンポイントで俺の部屋のドアの前にいる。

捨てられた訳でも無さそうだが、あまりにぼさぼさな毛並みは飼い猫のようにも見えなかった。


その姿は、猫に恐怖心のある俺でも可哀想だと思わせるのに十分な程だった。


「寒いだろ、おいで」


飼い猫か野良猫かも分からないかわいそうな黒猫を、俺は家へと招き入れた。

飼い猫なら、雨が止んだら離せば帰るだろう。

そんな呑気な風にしか考えていなかった。



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