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アクマにアソコを貸しました

第10章 イカ?いいえ、津島です

という訳で、結局は予約した店の中で直接待ち合わせた。

すみませんと必死に謝る彼女が可愛くて、怒る気持ちになんてなれなかった。
ウルウルの瞳に朱のさした頬、上目遣いとくれば嫌が応にも期待するってもんだ。

食事をしながら穏やかに会話が進む中、肝心の相談事を切り出せないでいる彼女に水を向けてやった。
「で、相談って?」


――彼女の相談というのは、好きな人になった男性には彼女がいるらしいのだが、すっぱり諦める事も難しい。どうすればいいのだろうか?

という内容だった。

すべすべの頬を桃色に染め、羞じらってつっかえながら一生懸命話すモモちゃん。

可愛い。…可愛い、んだけど

チッ、俺狙いじゃねぇのかよ!
動揺のせいで然したるアドバイスも出来ずに、電車の時間が来てしまった。平日じゃあ遅くまで引き留める訳にもいかないしな〜


帰宅して「きぃぃ、悔しい!」と抱き枕を抱えゴロゴロしてて気がついた。いや待てよ。


「その片想いの相手が俺という可能性も否定できない。――だって彼女はひたむきで恋するものの熱を瞳に宿しているから」


*****
すれ違いざまに遠くを見つめた津島が突如ポエマーになったので、ギョッとして思わず振り返った。

(ねぇ、バカなの?ポジティブバカなの!?)
(梓穏、静かにしろ!指を指すんじゃない!)

咄嗟にケィシの掌で口を塞がれた。放せぇ、あれをツッコまずにいられるかぁー!

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