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アクマにアソコを貸しました

第10章 イカ?いいえ、津島です

「あ~くたびれたぁ。帰ろ…よっこらしょ」椅子から立ち上がるにも掛け声が必要とは、HPは限りなく0に近いとみた。今ならお掃除業者のおばあちゃんより弱い自信がある。

よろよろと廊下にでて数歩進んだ時、目の前の壁に手をついて顔を覗き込んできた男がいた。
「カグ、ちょっといいか?」
「良くない、じゃあお疲れ~」

冗談じゃない、この疲労感で津島の相手なんかしてられるか。そう思ってぞんざいに手を振ってさっさと立ち去ろうとしたのに、津島に手首を掴まれた。
「まて待て待て!断るの早えーよ!話しがあるんだって」

だ~か~ら~私には話なんてないっての!

「とにかくちょっと待ってて、すぐに鞄持って来るからさ。あ、なんならエントランスで待っててもいいからな」

私に向かってビシッと指を指し、小走りで職場に鞄を取りに行ってしまった。
ちなみに指をさされた時に咄嗟に避けてしまった。今年一番俊敏だった瞬間かもしれない。

エントランスまで来たら、本当に本気で面倒くさくなった。このまま帰りたい。
体調不良ということにして帰っちゃおうかな。シモ半身がダルいのも体の不調といえば、不調と言うことになるのでは。

よし、帰ろう。

そう決意して鞄の持ち手を握りなおした時、エレベーターの方からざわめきを纏った集団が現れた。

あ、桐原だ。魔物憑きのヤリチンから、ただのヤリチンにグレードダウンした彼が、女の子を侍らせていた。
うげぇーーー疲れた仕事帰りに見たくない存在だわぁ……
萌々ちゃんは、こいつのどこがいいんだろうか。
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