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アクマにアソコを貸しました

第4章 恋ができないじゃないですか

「梓穏…こんなところにいたのか」

部屋の暗がりで闇がユラリ揺れて凝(こご)り、現れたのは今度こそ蘇芳京紫だった。


「真赭(まそお)…!」

「京紫久しぶり」

兄弟というにはあまりにもそっくりな二つの人影。

「真赭、助けてくれたんだな…ありがとう
悪いがもう少し辛抱してくれ。…俺が、必ず」

「待ってる。だから、あんまり無理はしないでくれ。助けた意味がなくなるのだけは勘弁してよ」


最後に紫の瞳をしっかりと見据えて橙色の瞳を閉じ、サラサラと砂が風に吹かれるように人の形が崩れていった。


そして私のお腹が再び淡く発光して、光はお腹に吸い込まれるように消えたのだった。


一部始終を見ていた津島くんは床に座り込んでガクガクと震えている。


ケィシが私を抱き上げて、思い出したように津島くんを見た。


「匂いに惹かれる気持ちは解る。だが、俺は自分のものに手を出される事を善しとしないんでな」


津島くんに向けてフッと手のひらを振ると、幾つもの影がグワッと飛び出した。

そのうちの一匹?はカパリと口を開けて頭を丸ごと食んだ。

「ひぃっーーー!やめて、助け…っ!!うぎゃあぁぁ」

ケィシは呆れた顔で
「おい、そいつが喰ってるのは今の記憶だけだ。お前大袈裟だな」

そう言い残して私ごと姿を消した。


「……忘れてた、あいつは記憶を喰うだけだが、他は陰部に入り込むんだった…って今頃遅いか」


その後津島くんは少量の精液を常に出すという原因不明の病気で、自然に治るまでしばらくの間、イカ臭かったという…

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