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アクマにアソコを貸しました

第6章 ロスタイム上等じゃないですか

「そんなことは明白だ。
お前のオーラが急激に増えて、しかも雑味を帯びてる。

精が生気の代わりにはならん。中毒性を引き起こすだけだと、知っててやったのだろう」

真っ直ぐに見て問われ、わずかに肩を竦めた。

「まぁね、言い訳としてはちょっと苦しかったか…

それに自分の精で印を付けておけば次にその女を“喰う”時、探すのが楽じゃん」

実際には同じ女を何度も喰って壊すつもりはない。京紫もそれは分かってるだろう。何をどう言っても見透かされているようで、苛立ちは増す。

「次は俺が質問しようかな。どうしてこないだの梓穏の記憶を消した?彼女は俺が梓穏の肩を噛んでしまった、あの時の事を何も覚えてないだろう?」


無言で見つめ合った後、京紫は息を吐いた。


「あいつは軽く中毒状態になりかけていた。それを解除した時の苦しい記憶を消したら、あの夜の一連の行為まで忘れていたんだ」


本当か――?本当は俺が梓穏を抱こうとした事をわざと消したんじゃないのか?
…なんだこの感情。人間の胎内に間借りしてたせいで人間ぽい思考が芽生えてんのか。

頭を抱えたくなったその時
「ねーねー、今日のスーツどっちがいいかなぁ」

場違いな声が隣室から聞こえてきた。

二人でハッとした後、隣室に向かおうとした俺に静かに声をかける。

「真赭、あんまり甘やかすなよ」俺たちはもうすぐ――…

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