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ワタシの履歴

第33章 支え

社長も女将さんも、佐藤さんには期待をしていた。

なぜならホテルのフロント経験者だからだ。

そして、実は佐藤さんが来る前の10月、女の子が派遣されてきたが、彼女は2週間で辞めてしまった。

仕事内容が結構ハードだったのだ。

フロントと言っても、やる事は多岐にわたる。

車の誘導、駐車、館内の説明はここに書き出したら何ページになるか?という位長い文を暗記しなくてはならない。

部屋の名前も桔梗や石蕗と言った、日常では使わない漢字で古風な花の名前。

お食事処も半個室になっていて、難しい名前がつけられていて、割り振りもしなくてはならない。

御夕食の内容やメニュー、食材の産地も暗記しなくてはならない。

部屋へのご案内は基本中居がするが、中居が出払っていればフロントがする。

予約の確認や電話対応もフロントで、入口からフロント周りの掃除もするし、お土産品の管理もする。

あと、お客様が御来館された時には和菓子を切って用意し、御抹茶もたてる。

この旅館は、全15部屋しかないが、いわゆる高級旅館だった。

更に、社長より年上で、ずっと番台さんをやってきた、60代の男性がいるのだが、この人は口は悪いし怒りっぽく、仕事のミ スは許さず、仕事の出来ない人は一員として認めない人だ。

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