テキストサイズ

ワタシの履歴

第33章 支え

この人は、とにかく人を余り認めない。

私は幸い認めて貰えたみたいだったが、2週間で辞めてしまった女の子は違った。

覚えが余り良くなくて、番台さんは良くイライラさせられていて、彼女を怒鳴る事も多かった。

彼女はそれに耐えられなくなり、鬱気味になってしまって、派遣会社を通して辞めた。

私が来るまでも、数人の派遣が来ていたが、契約期間の3ヶ月をもったのはほとんど居なかったそうだ。

そんな中、フロント経験者が来るとなれば、期待せずにはいられない。

仕事も要領よくやってくれるだろうし、接客だって教える事は無いだろうと。

しかし、佐藤さんは全員の期待を裏切った。

本当に経験者か?という位に敬語を余り知らず、車の誘導もままならず、お帰りになるお客様のお見送りの立ち位置さえ分かっていない。

こんな仕事を経験していなかった私でさえ、女将さんより前に出てはいけない事は常識をあてはめれば分かる事だが、佐藤さんは知らない。

位置は関係なく、尚且つお客様がまだ見える位置なのに、まだ頭を下げている女将さんを置いてさっさと中に入っていく。

番台さんの怒りを買うのは言うまでも無い。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ