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「いや、調度自分も辞めるって言おうと思ってたところだったんです。自分にはこんな所は無理です。こちらから辞めさせて貰います」

『―は？この人は一体なに言ってるんだ！？』

と、私は驚き、社長を見た。

すると社長は、ビックリしながらも怒りが込み上げてきているのが分かる。

「あ～じゃあそうゆう事でよろしく！明日には引越してくれ！」

「自分もそうするつもりで、荷物はもうまとめてあります」

驚いた…

佐藤さんは強がりを言ってるのがバレバレだ。

彼が私の部屋の音が聴こえるのと同じで、私も壁に耳をつけなくても、自分の部屋でテレビをつけていなければ、物を移動する音や玄関を開ける音、テレビの音ぐらいは聴こえる。

でも、佐藤さんの部屋は私の部屋を鏡に写した様に真逆で、トイレは私の部屋側では無かったからトイレの音は聴こえなかったが…

だからきっと彼は、壁に耳をつけていたに違いない。

まぁ…常につけてはいなかっただろうが…でも気持ち悪い…

そんな佐藤さんの部屋からは、荷物をまとめる音や物を移動する音なんてしなかった。

あの時、佐藤さんの部屋をノックして彼が玄関を開けた時に一度部屋の中がチラッと見えたが、彼の部屋には私より荷物があったように見えた。

なら、荷物をまとめる時、少なくとも音は聴こえてきそうだ。