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G線上のアリア

第4章 夢は…

「本気で助かった!!…さすが委員長!ノートすぐに返すから待ってて」
言うなり席について、周囲の注目にも動じずに離れ、昨日の場所を広げてノートを取り出した。
「放課後でもかわないから…」
それだけ言うと始業のチャイムは鳴り出し、本日もいつもと代わり映えのない一日が始まった。




それこそが『幸せ』だったのかも―――知れない。




放課後委員会が終わり教室に戻ってくると、青葉が嬉しそうに駆け寄ってきたのに、流石の夢叶が驚いた。
「まだ帰ってなかったの?」
「あー、バイトは今日はないし、そのさ…ノートのお礼させてよ?」
「はい?」
一瞬、何を言われたのか意味が分からなくて。思わず言ってしまった言葉にも青葉は挫けなかった。
「だから『お礼』軽く一杯お付き合いしてやってよ」
けらけらと明るい声で笑い、ノートを差し出すのを受け取った。
「お礼が欲しくてノートを貸したわけじゃないし、気にしなくていいけど?」
「まあまあ…」
断る夢叶の席へ行き鞄を取った所で、朔夜が外から戻ってきて駆け寄ってくる。
「夢叶、帰ろうぜ」
鞄を取って近寄ると、青葉は耐えていたのかくくっと喉から笑いを漏らして夢叶と朔夜を見た。
「一緒に茶しよーよ」
な?と言うなりささっと夢叶の鞄を持って出口に歩いていく青葉。思わず上着をつかんで後を追いかける夢叶に、それに続く朔夜。

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