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G線上のアリア

第6章 本当に怖いこと

視線を先に反らしたのは朔夜だったが、夢叶は想いを言葉にしていいのか―――どうか。今更ながらに戸惑いが浮かんだ。
従兄弟である以上は血縁であり、何よりも同性であること。それを明らかにしてしまうことで、大切な何かを壊さないだろうかという不安。何よりも勇気が自分にあるだろうかと俯いた。
初めて惹かれた相手は、同性だったし………女性を可愛いという意味では嫌いではない。道を道理を踏み外してしまう恐怖があるから、夢叶は今まで誰にもそれを言ったことはなかったし、これから先だって黙っているつもりだった。
切ないのは勇気がないからで。思うことは自由という言葉で全てに諦めを持って生きていくのだろうと思っていた。


自分は異端でしかない。



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