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G線上のアリア

第2章 家族になろう

一瞬にして魅了される笑いかた―――だった。少なくても夢叶にとっては。夢叶は強く握った手に、力を抜くこともなく言った。

「だって、僕達は家族…だからっ!!」

彼が本当に欲しくて、求めているものに触れられたという気持ちが強かった。家族、それを今更覆すことが出来るわけないと、夢叶は溜飲を下すか如くに言葉を胸の奥に返した。
「お母さんもお父さんも―――きっと同じ気持ちだからね」
邪心ではなく、無心に信じてほしくて。
夢叶は手を握って力説したのだ。




冬休み―――短くて、沢山の事柄が重なった日々も終わり、夢叶は朔夜と同じ学校へ通うことに決めた。
「なりたいものがないなら、これから幾らだって探していけるから…」
廉の取り計らいと、朔夜の学力が功をなし。冬休みの間に転校手続きを終え、明けると同時に夢叶とはクラスが離れたものの、同じ学校へと通うことになった。この頃には、朔夜の一枚隔てた壁はかなり薄くなり、静香と廉は喜んでいた。

「二人とも起きなさいっ!」

静香はあれほど言ったのに、子供二人は深夜遅くまで起きてゲーム三昧だったのか、毛布に包まるようにリビングで寝息を立てていた。
「朔夜くん!夢叶くんってばっ!」
静香が幾ら揺さぶっても、二人は身動きもせずに眠っているだけで、まだ眠たそうな顔で廉が降りてきて二人に苦笑した。

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