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第1章 彼



鍵を開け
異変に
気づく


玄関から
部屋迄の
狭い廊下


靴箱
クローゼット
シンク下の扉


バスの戸
トイレの戸


扉と言う扉が
全て開いている


扉を避けながら
彼の名を
幾度も繰り返し
呼んだ



緑色の遮光カーテンに
塞がれた
陽射し



薄暗い部屋の床に
横たわる
彼の脚



彼が
息をしていない事に
気づいたのは


カーテンを
開けた時だった



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