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第1章 彼



十数分後
サイレンが止まり
階段を昇る足音が
吹き抜けの階段に
響き渡る


玄関を開け
救急隊員を待ち


僕は
そのまま
外での待機を
命じられた


死後
数時間経過していた為
検察が入ると
処置する事なく
簡単な事情聴取をして


救急隊員達は
階段を下りて行く


擦れ違いに
階段を登る足音


数分 立ち止まり
状況を語る声と
丁寧な挨拶が
交わされ


連絡をした
老夫婦が
階段を昇ってきた


落胆する表情もなく
若干 面倒臭そうに


“退院してから
連絡もないし
困るのよね”


彼の部屋へ
入ろうともせず


愚痴だけが
零れた


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