
「俺は、男だ!クソ野郎」
第5章 鬼ごっこ…?
ガクリと肩を落とす。
でも次の瞬間、ハッとする。
ん?待てよ…。
これは、きっと運良く誤魔化せるのでは?
だって、翼先輩は、
俺が鬼とか逃亡者とか区別できないはずだから。
「先輩、何を言ってるんですか?俺、鬼ですよ?捕まえても意味ないです」
とぼけて、もうここは、
最初っから“鬼”だったってことにしよう。
その方が都合がいい。
俺って頭良い♪←
「なーに言ってるのかな?隠れてたのに?」
バレバレだよと言った感じの表情をする。
「あ、あれは…寝てただけ!」
結構、鋭いとこ突くな。
「言い訳は、ダメだよ?実はね、鬼には、バッチが渡されているんだ。…それ、ちゃんと持ってる?」
先輩は、クスッと笑いながら、
ポケットに手をいれ、
鬼とか書かれたシンプルなバッチを取り出して
俺に見せる。
「…っ!!」
オワタ\(^o^)/
バッチが配布されてるなんて聞いてない。
そ、そんなの卑怯だ!
俺は、何も言えず、
黙って下を向いていると
「図星だね。じゃあ、行こっか」
そう言って、先輩は、
俺を無理矢理、またさっきみたいに
軽々と担ぎ出した。
「ちょっ!お、おろせー!!」
この体勢は、羞恥だ。
担がれるって、ダサすぎるっ!
学園中の笑い者になるのは、死んでも嫌だ。
「や、やめろ!頼むから!!」
俺は、足をバタつかせる。
誰かに見られてしまったら、
恥ずかしくて部屋から出れなくなる。
「我慢しようねー♪」
先輩は、キラッとした顔で
紳士みたいな雰囲気を出している。
…もう、引きこもり決定だ。
そして、俺は、絶望して
そのままの体勢で体育館に連れて行かれた。
