優しいキスをして
第1章 出来心
次の日の夜。
今日は営業が早く終わったため、あたしは久しぶりに練習をするために本店に来ていた。
裏口のドアを開けると珍しくシーンと静まり返っている。一階フロアの床屋の方も誰もいなかった。
「誰もいないや」
とりあえず荷物を置き、床屋の待ち合いのテーブルにクランプをつけ、ウィッグをセットした。
はあ……。
あたしは前下がりボブが苦手だ。カットデビューしてもなかなか満足のいく前下がりボブが切れなくて悩んでいた。まあ、夜練習しないで遊んでいるのも悪いんだけど。
あたしは頭の中でスタイルをイメージすると、少しずつ切り始めた。
パチン、……パチン……。
静かな部屋には鋏とコームのぶつかる独特の音だけが響いた。
たまには誰にも茶化されないで練習するのもいいなぁ。
いつもだいたい田橋さんが話しかけてくるので練習半分、おしゃべり半分になってしまう。
しばらく集中して練習していると、ガタガタっと裏口が開いた音が聞こえた。
あたしは気にせず続けていると、
今日は営業が早く終わったため、あたしは久しぶりに練習をするために本店に来ていた。
裏口のドアを開けると珍しくシーンと静まり返っている。一階フロアの床屋の方も誰もいなかった。
「誰もいないや」
とりあえず荷物を置き、床屋の待ち合いのテーブルにクランプをつけ、ウィッグをセットした。
はあ……。
あたしは前下がりボブが苦手だ。カットデビューしてもなかなか満足のいく前下がりボブが切れなくて悩んでいた。まあ、夜練習しないで遊んでいるのも悪いんだけど。
あたしは頭の中でスタイルをイメージすると、少しずつ切り始めた。
パチン、……パチン……。
静かな部屋には鋏とコームのぶつかる独特の音だけが響いた。
たまには誰にも茶化されないで練習するのもいいなぁ。
いつもだいたい田橋さんが話しかけてくるので練習半分、おしゃべり半分になってしまう。
しばらく集中して練習していると、ガタガタっと裏口が開いた音が聞こえた。
あたしは気にせず続けていると、