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ひまわりのキミ。

第1章 ひまわりのキミ。1

「夏子…?」


相合い傘してもらって。

勉強も教えてもらって。

少し舞い上がってた。


こんな私が、てっちゃんに相手にされる訳無いのに。


ずっとずっと追いかけて。


てっちゃんだけを追いかけて。


目の前のことが見えていなかった。


「お前濡れてんじゃん。もう少し中入れよ」


てっちゃんはそう言って肩を掴んだ。

でも、これ以上てっちゃんの隣にいるのは辛い。
だから、自分が悲しくないように……。


「てっちゃん。私、家そこだから。ありがとう、また明日ね…!」

「あ、おいっ!夏子!?」


私はてっちゃんの傘から出て走った。

走って、走って。

雨か涙か知らない。

目の前が滲んでよく見えない。

全部、全部、流れてしまえばいい。


もう、何もかも。


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