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ひまわりのキミ。

第2章 ひまわりのキミ。2

いつ止むのか分からない雨に打たれながら、ベンチに座る。

その時、パシャパシャと水を弾く音がした。

顔をあげるとそこに居たのは。


「大丈夫?」

「杉野くん……」


杉野くんは心配そうな顔をして立っていた。


「なんかあった?」


私は首を横に降った。

なるべく迷惑をかけたくない。

だから平然を装う。


「だ、大丈夫だよ」


私は下を向いた。

目はなるべく合わせたくない。


「日向さん」

「なに……?」

「家どこ?」

「えっ…。わ、分かんない、の」


本当に分からない。

勢いだけで走ってきたから。

すると、杉野くんのふっと笑った声が聞こえてきた。


「何それ」


いつもの教室での笑い声じゃなくて、小さな笑い声。

キラキラとした笑顔で笑っていた。


「日向さん、傘ないでしょ?とにかくまだ雨は降ると思うし、早く帰ろ。俺も家探すの手伝う」

「ううん…」

「何で?風邪ひくよ?」

風邪…。

出来ればひきたい。

そうすれば、しばらくは学校でてっちゃんと会うことも無くなるから。


「ほら」


ぐっと腕を上に引っ張られ、半ば強制的に立たされた。


「行くよ」


そのまま腕を引かれて、公園を出た。


「すっ、杉野くん…」

「…風邪ひかれたくないの。だから早く帰るよ」

そう言ってタオルと一本の青い折り畳み傘を差し出してきた。


「俺、傘もう一個常備してんの。スゲーだろ」

「うん……」

「はは。そこ笑うところだから」


きっと杉野くんは、私を元気づけようとしてくれているのだろう。

私、迷惑かけてるな…。

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