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ひまわりのキミ。

第13章 愛しいきみ。3

夏子の顔を見ると、泣いていた。

えっ?


「何泣いてんだよ…。そんなに嫌だったのかよ?」

「ちがっ…。これは…」

そう言って夏子は鞄からハンカチを出して、涙を拭く。

…ちゃんとハンカチ持ってんだな。

そんな女子らしい所を見てキュンとする俺。

今こいつ泣いてんだよ。

そして夏子は俯いた。

返事…。

嫌いになってないって言われても、俺を恋愛感情で好きって思ってるとは限らない。

だけど、告白しといて返事を聞かないとか後味悪いことはしたくないから、俺は勇気を出して返事を聞いた。

夏子は戸惑っていたけど、顔を真っ赤にさせながら…。


「私も…好き、だよ!」


その真剣さに恥かしくて顔を覆った。

ていうか…、夏子も俺のこと好き…なのかよ?

え、マジで…?

フラれるかと思って口にした。

そしたら…


「ふっ、フらないよ…!」


って言うから、またドキドキして、可愛くて仕方ない状況になって顔を覆った。


「お前、かわいすぎんだろ…」


また口走った。

でも夏子は自分のことを『生ゴミ』とか言った。

何でだよ。

十分可愛いっつーの。

なんとなく頭を撫でたくなって、頭を撫でた。



………おいおい。

何してんの、俺。

今さら、思い出した。

杉野の存在…。

こんなの抜け駆けじゃん。

あいつにまだ、俺の気持ち言ってないけど。

でも…俺は、杉野のこと裏切ることなんて無理だ。

自分の気持ちだけで行動しちゃダメだ。

…俺は、夏子の頭から手を離した。

本当はこのまま抱き締めたかった。

なのに…、俺は…。


「付き合えない」


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