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ひまわりのキミ。

第15章 ひまわりのキミ。12

付き合えたり…するのかな…。


「朝日奈先輩っ…!」


そう思った矢先。

そんな願い事なんて、一瞬で砕け散ってしまった。


「高橋…」


見ると、そこにはあの時、『彼女』と言った子がいた。

やっぱりいつ見ても可愛い。


「あのっ…、もう少し話し合いたいです…」


高橋、と呼ばれた子は今にも泣きそうだ。

てっちゃんの手がスルリと離れる。

…離された手が寂しい。


「俺はもう…」

「どうしてですかっ…?」


すれ違う人達が何事かと見ていく。


「何かしちゃいましたかっ…?」

「そうじゃない…」


これはいわゆる修羅場かな…。

どうしたら良いのかな…。

気を利かせて、この場を離れるべき?

…でもそうしたら、てっちゃんと周れないかも知れない。


「…はぁ。夏子、ちょっと待ってろよ」

「…その人、彼女ですか?」


高橋さんの目が私に向けられた。


「えっ…と」

「違うけど」

「じゃあどうして一緒にいるんですかっ?」


あ…。

私、この子が言いたいこと、分かったかも知れない。


「先輩とこの人じゃ全然釣り合わない…!」


分かりきっていた。

キラキラと輝く存在のてっちゃんの隣には、私はふさわしくないことくらい。

天と地の差があることくらい。


「お前いい加減にっ…」

「てっちゃん」


やっぱり、私は無理だ。

「私、用事思い出しちゃった」


泣きそうだ。


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