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秘密の恋。

第15章 居酒屋『祭り』

(いくら香りのことでも、異性に対して躊躇なく『好き』って単語を使えるなんて…この子は何考えてるんだろうな…)

木村は隣に座る友香をチラ見する。友香は、木村とは反対側の、窓の外を眺めていた。アップにした髪と、うなじにドキッとする。
(考えるも何も、俺のことは何とも思ってないのかもな。そういえば、恋人と別れたって前に聞いたけど、その後好きな男とかは出来たのかな…)

友香は友香で、内心ドキドキしていた。
(近いっ、近いよ~。いい匂いするし、それに…手が、手が当たりそう。こんな狭い空間に二人っきりだなんて緊張する)

…前に、タクシーの運転手がいますが。友香は舞い上がっているので運転手の存在は忘れています。

「お客さ~ん、着きましたよ!居酒屋『祭り』」
運転手の声にハッとする。
(ふっ…二人きりじゃなかった。運ちゃん!存在忘れててゴメン)
友香は心の中で運転手に謝罪した。木村がタクシー代を払う。
「あっ、半分出します!」
友香が割り勘を申し出るが、木村は断った。

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