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顧みすれば

第9章 日常

「ねぇ、亜美。」

ちょっと小声で話しかけてくる。

「設計の石田さんも一緒なんでしょ。」

ランチを持ってこちらに歩いてくる石田さんを見ながら耳打ちする。 

「そうだね。」

「ね、仲良くなったら合コンセットしてよ♪私、前から気になってたの。」

「そうなの?
 ほんと、石田さんて人気ね。
 うちの部署の子も狙ってるよ。

 合コンね。今度聞いてみるよ」

「やったぁ~♪約束だよ」

奈々は石田さんをずっと目で追っている。
その、石田さんがこちらの席に近づいてきた。

「佐々木さん、向こうの席にいかないの?」

「あ、同期がいたんで、久しぶりに話したいなと思って。」

「お、女の子ばっか。俺もお邪魔していい?」

「もちろんです!どうぞ♪」

奈々は嬉々として答え、なぜかひとつ席をずらし石田さんを挟むように座った。

「設計部の石田です。はじめまして。設計にはあんまり女の子いないから嬉しいなぁ♪」

「経理部の友部奈々です。石田さんと話せて光栄です♪」

奈々はかなり興奮ぎみだ。

「あとは、経理部の愉快な仲間たちです。」

「ちょっと奈々~!」
「自分ばっかりズルいよ!」
「私は川井友子といいます。宜しく♪」
「私は堀裕子です」

ほぼ被りぎみだ。

石田さんはそんな女子にも爽やかに笑いかける

「事業企画部の松田脩平です」

「は?!」 

「なんで松田が来るのよ!」

奈々は明らかに歓迎してない様子だが
しばらく松田をみつめ
ははん♪
と頷いた

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