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顧みすれば

第11章 盛夏

「亜美ちゃんはよくこの店に来るの?」

山下常務が口を開く

「亜美ちゃんは常連さんですぅ♪」

いつのまにやらカクテルドレスに着替えたルイちゃんが答える

「常連?」

「そう、もう5年くらいね。二十歳の頃からだもんね」

ママが遠い目をする。 

「そうそう、ダンディーなおじさまと一緒に来たのよねぇ♪」

「ちょっ ルイちゃん!
 誤解されるようなこと言わないでよ!
 おじさまじゃなく、叔父さん!
 父親代わりみたいなひと」

「佐々木、二十歳からゲイバー通いかよ」

松田くんが驚いた目を向ける。

「居酒屋って一人で行けないでしょ。
 ここは、気が楽なの」

「そういう話か?」

松田くんが呆れている

「ところで、山下常務ぅ♪
 いつからそんなに亜美ちゃんと仲良くなったんですぅ?」

おかわりの水割りを差し出しながら
ママが矛先を常務に向ける。

「ん?」

「とぼけちゃってぇ♪
 さっき亜美ちゃんって呼んでたの
 聞き漏らしてませんよぉ♪」

常務の肩をバシッと叩いた

「そういわれれば!」

美保先輩まで...


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