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顧みすれば
第12章 砂漠の檻
ホテルの前には白いベンツのリムジン。
ーーほんとに、来た。
同じホテルに宿泊する外国企業からも注目の的だ。
なかには「女を使ってまで仕事を取りたいのか日本人は汚い」と揶揄する声まで聞こえる。
私は迎えの人のあとにつきそそくさとホテルを出た。
正直、困る。
街から少し外れた白く大きな宮殿に車は吸い込まれていく。
車から降りるとズラリと出迎えの人が並んでいた。
長い廊下を抜けいくつか角を曲がり
やっとひとつの扉の前まで来た。
執事とおぼしき人がノックする。
ロイド王子の返事がして扉が開けられた。
きらびやかな室内は目を奪うばかりだが
落ち着かない。
日本人には馴染まないな。
と素直に思ってしまった。
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