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顧みすれば

第12章 砂漠の檻

遠くの扉が激しく開く音がした。

「女は?」

アジア訛りの英語だ。

「まだ気を失っています」

 見張りとおぼしき男がアラビア語訛りの英語で答える。

「まったく日本人め。いい気なもんだ。
 まるで自分達が受注したような気でいやがる
 しかも、あの女ロイドのお気に入りらしいな
 あの女に何かあれば
 さてロイド王子はどうするかな


 このプロジェクトはうちがもらう。
 日本の技術など知ったことか。
 平和ボケしたやつらに教えてやろう
 欲しいものは奪い取るんだとな


 この国にも我が国の町を作らせてもらわねばなならない。仕事のない労働者が本国では溢れかえっているからな」

アジア男が自国の言葉で高笑いする。



また扉の開く音が聞こえた。

「ロイドのお気に入りとはどんな女だ」

今度は綺麗な英語だ。

「バドル王子 お待ちしておりました
 奥でまだ気を失っております」

アジア男が慇懃に答える

「バドル王子はアジア女をハレムにご所望でしたのでちょうどよい獲物がかかりました。
 ぜひご覧ください」

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