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顧みすれば

第2章 会社員 佐々木亜美

朝礼が終わり部署のミーティングが始まる。

「知っているものもいると思うが
 新プロジェクトの企画が入った。

 アラブのプラント建設だ。

 いま、アラブ諸国はオイルからの転換を図ろうとしている。
 ドバイは観光で成功したが、アラブは発電と水を輸出する策を考えているらしい」

課長が新プロジェクトの説明を始めた。

昨日の接待はこれか。

でも、なんでこの話聞かされていなかったんだろう。

「今回はアラブ政府からの要請で世界各国が名乗りを挙げている。
日本はもとより、ドイツ、アメリカ、中国、フランス、他にもあるだろう。
発電所はかなり厳しい戦いになると思う。
ただ、水の方は技術的にわが社と数社しか出来ないはずだ。うちはこっちを狙う」

なるほどと皆が頷く。

「今回はわが社と半田電気とテイミン、ゼネコンは半田さんが決める。
重要なのは商社だ」

そこまでいって課長は皆を見渡した。

「なんとしても山下商事に参加してほしいのだが、なぜかなかなかうんと言わない。
 いま、水面下で動いているところだ。

他のJV も山下商事を抱き込もうと躍起になっている。
今回のプラントの受注は山下商事にかかっているので、くれぐれも粗相のないように」

皆が深くうなずき はい と返事をした

「いまのところ報告できるのはこの程度だ。今後のプレゼンに向けて各部署で資料を作成してくれる。
資料を取りまとめてプレゼンにかかれるよう準備しておいてくれ

以上だ」

ミーティングが終わりそれぞれが自席へと戻っていく。

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