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顧みすれば

第13章 HERO

私は父に連絡をいれた。

「どういうことだ 直哉
 いま、三住の社長から憤慨の電話があったぞ。
 私は何も報告されていなかったので、何もこたえられなかったが」

「申し訳ございません。
 常にSP はつけていたのですが、隙をつかれました」

「で、外務省には?」

「あちらの領事館から連絡はいっているかと」

「そうか。事務次官には私が連絡しておこう。犯人の目星はついているのか?」

「バドル王子だと思われます。
 バドル王子はテロ組織と通じていて、今回はプロジェクトに参加していた国のマフィアまで絡んでいるかと」

「...厄介だな。

 あとどれくらいで成田につく?」

「三時間くらいです」

「わかった。ジェットを用意しておくからそれに乗り換えてアラブに戻れ」

「申し訳ございません」

「まだバドルのもとにいればいいが...

 まあ、そうだとしても無傷とは考えにくいな。あの王子の猟奇の様は有名だからな」

父とあとの対策を考え電話を切った。


言葉が出なかった。
誰とはなしてもバドルが相手では無傷ではないと答えが返ってくる。

せめて、生きていてくれれば...

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