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顧みすれば

第14章 誤算

ーーロイド邸ーー


「ロイド王子、宰相が面会を願い出ておりますが」

応接室には既に日本の三住製作所の石田と木下、日本領事館の役人が待機していた。

「執務室にとおせ」

「かしこまりました」

私は客人に向かって席をはずすことを伝えた。


執務室に宰相が待っていた。

「ロイド王子、この度はバドル王子がご迷惑をおかけしたことまことに申し訳ございません」

宰相は私が聞く前にバドルが犯人だと伝えてきた。

「宰相、どういうことか」

「私も先程報告を受け、急ぎ王に謝罪に向かったよしにございまして、詳しいことは何も。
バドル王子ともまだ話をしておりません」


宰相は愁傷に頭を下げているが、なんともひとごとだ。
自分は関わりがないと強く示唆しているようにみえる。


「宰相、今度のことはバドルのイタズラではすまされない。

 現にこの屋敷には彼女の会社の人間と領事館の役人が詰めている。

 まだ公にはされていないが時間の問題だ

 バドルとすぐに話をつけ彼女を解放してもらえないか」


「ロイド王子のお言葉ごもっともにございます。

 しかしながらロイド王子も少し行動が軽率でしたな。野心家のバドル王子が今回のプロジェクトを黙ってみているとでもお思いでしたかな?

 責任の一端はロイド王子にもございますな」

なっ
宰相は何を言いたいのだ

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