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顧みすれば

第17章 それぞれの愛

王は応接の間で私の到着を待っていた。


私は王に挨拶をして膝間付いた。


「王、この度のこと私の私欲が招いた惨憺たる現実。この責任を...」

「ロイドよ」

王は私の言葉を遮り話はじめた。

「人の上にたつというのはとても難しい。
 王族であればなおのこと。
 常に民の模範であらねば王族など
 ひとたまりもなく潰されてしまうわ」

王は悲しげに微笑む

「バドルは民の恨みを買いすぎた。

 あの子をもっと早く王宮に閉じ込めておけばこんなことにはならなかったのだろうがな

 しかし、私はあの子さえも利用したのだ」


王の瞳には暗い影が宿っている。


「バドルが少々の悪い王子であれば叱りもし教え諭したであろうが

 あの子は常軌を逸していた。

 このままでは王族の存在まで危ぶまれると思ったが、とにかく18まで待つことにした。 

 あんな子でも私の大事な息子だからな

 正直に言えば待つ間にまともになってくれと祈った。親心だよ。

 だが残念なことにあの子は益々悪行を重ねるようになっていき、もう限度を超えた」

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