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顧みすれば

第17章 それぞれの愛

「今回の事件は起こるべくして起きたもの。

 18になったバドルをそろそろと思っていたところにあの子がみずから起こしてくれたのだよ。

 私はあの子を王族から追放し

 さらには亡きものにした。


 たとえ王の子であってもこの国を乱すものは何人たりとも許さないという強い姿勢を内外に示す機会にした」


王はゆっくり窓の外を見た


バドルのことは王子の位を剥奪
数々の悪行に対し処刑したと公表されていた。



「国をまとめていくとはそういうことだ

 情では生きて行けぬ」


寂しげに外を眺める王の横顔は

泣いているように見えた。


私は初めて王の孤独を間近で見た。


決して弱さを見せない王が

孤独と向き合い心で泣いている。


王の親の姿だった。

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