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顧みすれば

第17章 それぞれの愛

王はゆっくり窓から私に視線を戻した。

「私はかつてそなたと母に冷たい仕打ちをした。そのせいでそなたの母は心を病んでしまった。

 私が民であればそなたの母は心を病むこともなく、温かな家庭というものを築けたであろうが

 私は王であるゆえに人としては生きられないことを胸に刻んだ。たとえ愛する人を傷つけても守らねばならぬ大きなものがある


 それが王というものだ。


 王とは孤独なものだ


 決して自分の本心を晒してはならない」


王は私を強く見た

「私は今回のことで王位を退く覚悟を決めた。

 そなたに譲ろうと思う

 ロイド」

突然の話に言葉がでない。

私が王に?

私は王どころか王族から外してもらう覚悟を決めてきたというのに...


私は混乱していた。

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