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顧みすれば

第17章 それぞれの愛

「私が王など...

 とても無理です」


なんとか言葉を絞り出した。


「私は今回自分の欲を押さえきれずに

 大切な人を傷つけました。

 たった一人の女性も守れない私が

 この国の民を守っていくことなど

 とても無理です」

項垂れ力なく言葉を吐く


そんな私に王は優しく言葉をかける

「ロイドよ、

 そんなそなただから王になれる

 強いものが王ではない。

 自分の弱さを知り相手の痛みを感じる

 それができねば王にはなれん」


私は唇を噛みしめ王を見つめる


「そなたは今

 自分の弱さで人を傷つけたことを知った。

 そなたが負った心の痛みはそなたを強くし

 二度と同じ過ちは犯すまい」


王の言葉が胸に刺さる


「すぐに王位に就けとは言わん

 数年の後だ

 心を決めておけ」

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