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顧みすれば

第19章 実力者たち

その動きに圧倒され私は茫然と立ちすくんでいた。


すると、女性が笑顔を湛えて近づいてきた


「この度は娘が大変お世話になっているようで」


深々と頭を下げられた


「いえ、世話など何も...

 それどころか彼女を傷つけることばかりしてしまっています」

私は居たたまれない気持ちでいっぱいだった

女性は微笑んだ


「仕方ありませんわ

 サハド様の息子さんですから」


「え?」


「女将!」


王が慌ててやってきた

どういうことだ?


「そうだな」


直哉の父上まで同調している


「お前に言われたくはないぞ」


王は子供のようにムキになっている

私は唖然とした。


「お二人ともどちらも大差ございませんわ」


女将と呼ばれた女性は可笑しそうに笑った


とても娘が危篤とは思えない余裕ぶりだ



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