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顧みすれば

第21章 彼女の秘密

私は必死に女将を説得した。

責任を取らせてほしいと。


女将は今までのことは本当に感謝しているが、それとこれとは次元が違う。
決して許すことはないと
突っぱねられた。


それでも、私は食い下がった

せめて紗英ちゃんがちゃんと生きていることを
この目で見届けさせてほしいと
何度も女将に頼んだ。


これから紗英ちゃんの人生で困ったことがあれば
山下家がなんとかするから、関わりだけは絶たないでほしいと必死に頭を下げた。


そして、ついに女将はため息をつき
一番悲しく悔しいのは
誠一郎さんだろうと

私の願いを聞いてくれた。


女将が出した条件は
何も知らないふりをし続けること。


紗英ちゃんはその時の記憶が曖昧だから、
あの家にいた数人以外は知らなかったことにすると言ったよ。

女将でさえ知らないふりをすると言った。

私はもちろん了承した。

そして今まで通り紗英ちゃんと関わることを許してもらい
卯月も利用させてもらえることになった。

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