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顧みすれば

第22章 夢

「うっ はあああ」


紗英の体がビクリと動いて


大きく息を吸った。



機械を外そうとしていた医師の手が止まる


ピッピッピッピッピッーー


心臓が動き出した。



「紗英、紗英!紗英ーーーーー!!」



男は紗英にすがり付いた。


医師が冷静に男をベッドに押し戻す


「奇跡的です。


 しかし、予断は許しません。


 輸血を続けますから横になってください」


男ははっとしてベッド横になった。


「ドクター限界まで抜いてください。


 私は彼女を救わなければならない」



ドクターはニヤリと笑った


「私は初めて愛の力を見ましたよ

 限界まで抜きますから覚悟して下さいね」


「はい」


「冗談です。あなたが持ってきてくれた

 血液がもうすぐ準備が整います。

 それまで頑張ってください」


「あ、はぁ」


男は少し気恥ずかしくなった。

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