テキストサイズ

顧みすれば

第25章 愛のかたち

マリアンヌさんはそこまで話すと


「少し長くなってしまいそうね

 なかでココアでも飲みながら

 話しましょうか」


マリアンヌさんは私の車イスを押して

談話室へ連れていってくれた。


「サエもココアでいいかしら?」


「ありがとうございます」


マリアンヌさんは二人分のココアをテーブルにおいて私の前の椅子に座った。


「私は子供を産むことがこんなに苦難に満ちたことなのかと

 正直身籠った子供とともに命を捨てることも考えた」


マリアンヌさんはココアを見つめた


「今思えばね 


 私が産むのは愛する人の子なんて

 単純なものではなく


 王の子


 だったの。


 覚悟が足りなかったのね」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ