テキストサイズ

顧みすれば

第25章 愛のかたち

「王は私の本心を知っていた


 知っていたけど王にも立場がある。


 気づかないふりをしてくれたの。


 そして私がアラブを離れる日に



 『いつか二人だけで暮らそう。


 私の愛は常にマリアンヌとともにある』


 といって抱き締めてくれた。


 私はその愛で今まで生きてこられたわ」



そこまで話すと最後のココアを飲み干した


「ずいぶん 長くなってしまったわ


 ごめんなさいね


 サエ、愛にはいろいろな形があるわ

 目の前で想いを囁いてくれるのだけが

 愛じゃない。

 相手を想い遠くから見守ってくれるのも

 それも また 愛なのよ」


マリアンヌさんは幸せそうに微笑むと

立ち上がった。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ