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顧みすれば

第30章 決意

ーーああ、

  ここでも私を心配して

  泣いてくれる人がいる。

  やっぱり私は幸せなんだ。


咽び泣く美保先輩に抱き締められながら

そんなことを思っていた。


いつの間にか私の周りには人だかりが出来ていた。


「美保先輩、ご心配かけました。

 ちゃんと無事に帰ってきました」


私の胸のなかで美保先輩はうんうん頷いている。


人だかりの少し離れたところで

石田さんが見つめているのが見えた。


美保先輩が落ち着くのを待って話しかける


「美保先輩、お土産買いそびれました」


「もう、そんなものどうだっていいから」


美保先輩は涙でぐしゃぐしゃになった顔で笑った。

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