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顧みすれば

第30章 決意

落ち着いた美保先輩は私から離れた。


私は石田さんのところへ歩いた。


石田さんは何も言葉が出ないようでただただ私を見つめていた。


「石田さん、ご心配お掛けしました。

 石田さんが私を守ろうと

 頑張ってくださったこと聞きました。


 ありがとうございました」


私は石田さんに深く頭を下げた。


石田さんは唇を噛んで天井を見上げた。



「ごめん、守ってあげられなかった。


 助けることも...出来なかった...」


石田さんは私と目を合わせない。


私は石田さんの手を握った

「ずっとロイド王子の邸で一睡もせずに

 私の無事を祈ってくれていたこと

 とても嬉しかったです」


「僕は祈ることしか出来なかったんだ。

 情けないよ...

 君を救ったのはロイド王子だ。

 僕は何も出来なかった...ごめん」


そう言ってうつ向いた。

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